日本医科大学武蔵小杉病院 病理診断科
Department of Diagnostic Pathology,
Nippon Medical School Musashikosugi Hospital




病理診断と当科の特徴
細胞診断
肺がんや膀胱がんでは、痰、尿の中にがん細胞が混ざることがあるので、これらの体液を調べることで、がんの検査を行うことができます。スライドガラスに採取した体液や細胞を塗付した後、細胞を染色し、顕微鏡でがん細胞がいないか、判定します。甲状腺や乳房のしこりに対しては細い針を刺して、取れた細胞の中にがん細胞がいないか調べます 。
生検組織診断
内視鏡や超音波検査で見つかった胃や大腸の病変、乳房の腫瘤は、肉眼や画像検査だけではどんな病気であるのか、確定できません。従って、その組織の一部を少し切り取って(生検)顕微鏡で観察することで、正確な診断が可能となります。この結果にもとづき、臨床医は手術が必要なのか、様子を見てよいのか判断します。
術中迅速診断
通常、手術は診断が確定してから行われますが、まれに術前診断が難しい症例(病変が深い部分にあり生検ができないなど)があります。この場合、手術中に採取された組織から凍結標本を短時間(10~15分前後)で作製、診断し、その場で執刀医に連絡します。また、病変が取り切れているか、リンパ節に転移はないのかなども、判断します。これらの情報にもとづいて、執刀医は手術方針を決定します。
手術で摘出された臓器・組織の診断
手術によって摘出された胃、大腸、乳腺などの臓器をまず肉眼で病変の部位、大きさ、広がりを観察し、診断に必要な部分から標本を作製し、顕微鏡で観察します。これにより、リンパ節転移の有無、病期、がんがすべて取り切れているのか、などを判定します。また、原発巣が不明な癌の場合、組織型や免疫組織化学検査で、原発巣を特定することも可能です (下の写真は仙骨に発症した脊索腫)。
病理解剖
不幸にも病気で亡くなられた患者様のご遺体を、ご遺族の了承を得て解剖させていただきます。生前の診断が正しかったのか、治療は適切であったのか、どのような機序で病気が進行したのか、死因はなんであったのかなど、生前の問題点を病理学的に解明します。結果は、担当医に報告され、ご遺族には担当医より説明があります。顕微鏡所見を含む最終病理診断までには、2~3か月の時間を要します。
*2019年度総検体数、組織診 6483件、細胞診 8302件、迅速診断 257件、剖検 8件



